深貝保則・戒能通弘編『ジェレミー・ベンサムの挑戦』ナカニシヤ出版、2015年2月。
出版年月日 2015/02/28
ISBN 9784779508967
判型・ページ数 A5・412ページ
定価 本体5,600円+税
・目次
序論(戒能通弘)
凡 例
第I部 ベンサムの挑戦
総論I 幸福,道徳,そして統治
ジェレミー・ベンサムの挑戦(深貝保則)
1 今なお座るベンサム,論じられるベンサム
2 18世紀の「知」の様式とベンサム:人間把握から立法,統治へ
3 ジェレミー・ベンサムの挑戦
4 幸福と統治:ベンサムのロジック
5 ベンサム,その捉え直しに向けて
第1章 コモン・ロー的伝統とベンサムの法理論
「裁判官の慣習」と「一般的慣習」の峻別による
コモン・ロー批判 (戒能通弘)
1 コモン・ローの「同意」概念とベンサムによる批判
2 ベンサムのパノミオン(総合法典)をめぐって
3 おわりに
第2章 ジェレミー・ベンサムとH. L. A. ハートの
「法理学における功利主義的伝統」
(フィリップ・スコフィールド/戒能通弘[訳])
1 実質的な法実証主義と方法論的な法実証主義
2 道徳的中立性とベンサムの法理論
3 ベンサムとある法,あるべき法
4 言語と存在論
5 ハートの『法一般論』の編集
6 法理学における功利主義的伝統とは?
第3章 ベンサム言語論の挑戦
「言語論的転回」の先駆者か?「プラグマティズム的転回」の先駆者か? (高島和哉)
1 ベンサム言語論の構造
2 ベンサムとその先駆者たち
第4章 ベンサムにおけるキリスト教と功利主義 (小畑俊太郎)
1 〈イエスの宗教〉への視座
2 ベル=ランカスター論争と三位一体教義法
3 イングランド国教会の腐敗問題
4 ベンサムの教会論
5 イングランド国教会の「安楽死」と「宗教的自由」
6 おわりに
第II部 ベンサム論の挑戦
総論II 広まり変転する〈ベンサム〉から蘇るベンサム像へ (深貝保則)
1 揺れ動くベンサム・イメージ
2 広まり,意味づけられ,実用化される〈ベンサム〉流のアイデア
3 19世紀終盤における功利主義の彫琢
4 煙たがられ,批判される〈ベンサム〉的なもの
5 蘇るベンサム,その二層の試み
第5章 功利主義と配分的正義
民法とベンサム経済思想の基礎
(ポール・ケリー/有江大介・高島和哉[訳])
1 功利と立法
2 民法体系と経済
3 おわりに
第6章 憲法上の権利と安全 (フレデリック・ローゼン/小畑俊太郎[訳])
1 憲法上の権利と「悪政に対する安全」
2 適性能力のための安全
3 立法府の権力と安全
4 行政権力に対する安全
5 ベンサムにおける法・自由・安全
第7章 ベンサムにおける功利主義的統治の成立
パノプティコンと輿論法廷 (板井広明)
1 パノプティコン研究史
2 パノプティコンの構図:テクスト問題
3 パノプティコンの機制:世間の法廷
4 公開性・利益・経済性
5 パノプティコンと社会
6 『政治戦略論』
第8章 功利主義はなぜ不評か
utilitarianism/utilityの翻訳問題 (有江大介)
1 utilitarianism, utility の原語としてのニュアンスと漢語・漢字の「功」「利」
2 明治期功利主義文献の邦訳における「利」
3 大正期経済学での福田徳三・河上肇の「utilityの訳語論争」と経済学の外でのutility
4 第2次大戦後のutility「功利」・utilitarianism「功利主義」の運命
5 おわりに:功利主義のアポリア
第III部 挑戦する「ベンサム」
総論III ベンサムの統治功利主義の可能性 (戒能通弘)
1 功利主義と正義論
2 トロリー問題
3 統治功利主義
第9章 統治と監視の幸福な関係
ベンタムの立憲主義を巡るひとつの非歴史的随想 (安藤馨)
1 『憲法典』と統治機構のデザイン
2 非歴史的ファンタジー随想
第10章 功利主義とマイノリティー (板井広明)
1 ベンサム功利主義の基本構図
2 同性愛行為の非犯罪化と偏見
3 女性と平等
4 おわりに
第11章 グローバリゼーションとベンサム (戒能通弘)
1 世界の立法者と文化的多様性
2 輿論法廷と安全
3 ベンサムの国際関係についての議論と現代
4 おわりに
研究の手引き(板井広明)
あとがき(深貝保則)
事項索引
人名索引
ベンサム著作索引
・版元の紹介ページ
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b194109.html