経済理論史研究会(2000年)


日時:2000年12月2日(土)1:00-5:30
場所:早稲田大学3号館第2会議室

(1)報告者:小峯 敦(新潟産業大学)
題 名:「ベヴァリッジの失業論」
「本報告ではベヴァリッジの失業論を扱う。福祉国家の理論・実践の大家として有名な彼ではあるが,その初期の失業論は詳細に論じられたことはなかった。ここでは彼の失業論を,ワルラス以来の完全市場の発展史の中に正しく位置づけることを目指す。そして1903年から1908年までの彼の理論と実践は,互いに段階的発展を繰り返したことを主張する。本報告は次のような関心も隣接として包含している。(1)ベヴァリッジの経済思想はグリーン以来の新自由主義とどのような関係があるか。(2)彼の失業論は後の社会保障論の萌芽となっているか」
討論者:平井 俊顕(上智大学)・野崎 道哉(岩手県立大学)
司会者:内藤 敦之(一橋大学大学院)



日時:2000年10月7日(土)1:00-5:30
場所:早稲田大学3号館第2会議室

(1)報告者:小湊 卓夫(名古屋大学大学院)
題 名:「フランス貨幣循環理論における貨幣把握――Jean Cartelier を中心に――」
討論者:竹永 進 (大東文化大学)
司会者:石塚 良次(専修大学)

(2)報告者:佐藤 方宣(慶應義塾大学大学院)
題 名:「フランク・ナイトにおける主題としての経済と倫理」
討論者:藤井 賢治(青山学院大学)
司会者:未定



日時:2000年6月17日(土)1:00-5:30
場所:早稲田大学3号館第2会議室

テーマ:ケインズ特集
司会:平井 俊顕(上智大学・経済学部)

(1)報告者:清水 徹朗(農林中金総合研究所)
題 名:「ケインズ『確率論』の意味」
討論者:藤原 新(立教大学・経済学部)

(2)報告者:内藤 敦之(一橋大学・大学院)
題 名:「ケインズの金融的動機」
討論者:黒木 龍三(立教大学・経済学部)



日時:2000年4月22日(土)1:00-5:30
場所:早稲田大学1号館2F,現代政治経済研究所の会議室

司 会:藤井 賢二(青山学院大学・経済学部)
(1)報告者:田中 秀臣(上武大学・商学部)
題 名:「社会経済学とヒューマニズムの伝統――M. Lutzの経済学史的展望の評価――」
討論者:佐藤 方宣(慶應義塾大学・大学院)・若森 みどり(東京大学・大学院)
報告者より: 「数年前,『アダム・スミスの失敗』という啓蒙書を翻訳しました。この翻訳について様々な評者から意見をいただきました。ただ私はあくまで翻訳者としてかかわったにすぎず,この翻訳の内容について必要以上にコミットすることを避けてきました。しかし現在この続編を訳していることもあり,原著者たちがどのようなことを考えているのか,またそれと私田中の考えとはどこが異なるのかはっきりさせるために貴重な機会を利用し,報告を行うことにしました。まだサイトにあるものは注や引用が未完成です。また報告論文の内容だけでなく,『アダム・スミスの失敗』の内容についても応答していきたいと思っております」。

(2)報告者:高橋 美弥子(早稲田大学・大学院)
題 名:「クルノーA.A.Cournotにおけるラントla renteの概念について」
討論者:度会 勝義(早稲田大学・政治経済学部)
要 約:
 フランスの経済学者 A. A. Cournot (1801-1877)は,経済学への数学の本格的導入,独占,寡占分析,独自の均衡概念の創出など,現代経済学に直接つながるような斬新な研究で有名である。本発表の2つの試みのうちの一つは,もっとも有名なクルノーの著書 Recherches sur les principes mathematiques de la theorie des richesses (富の理論の数学的原理に関する研究,1838年)の独占,寡占分析などに登場し,「収入」という訳でおなじみの「ラントla rente」の概念を検討することで,D. Ricardo,N. F. Canard、J. B. Sayなどとの影響関係をさぐることである。
 もう一つの試みは,このラントという概念が,クルノーの後期の経済学著作 Principes de la theorie des richessesでさまざまな形で登場し,「ラントの理論」としてまとめられていることから,そこを足がかりに,クルノーの後期の経済学の特徴をつかむことである。
 以上,2点の考察を通して,クルノーの経済学諸著作を19世紀フランス経済学説史の流れの中に位置づけることを本発表の目的とする。