中村宗悦『テキスト現代日本経済史』学文社、2018年10月
出版年月:2018年10月
判型・ページ数:A5・272ページ
定価:本体2,900円+税
ISBN:9784762028304
目次
まえがき
第1章 戦前期日本のキャッチアップ過程
1. 自立的資本主義
明治政府の産業化政策/貨幣制度の確立/銀価低落下での企業勃興
2. 自立的資本主義から国際的資本主義へ
日清戦後経営/金本位制への移行/日露戦時外債の発行,日露戦後経営
3. 国際環境の変化:第1次世界大戦前後
第1次世界大戦の影響/大戦景気と米騒動/ヴェルサイユ,ワシントン条約体制/中国の動向
4. 重化学工業化の進展
製鉄業/機械工業/化学工業/蒸気力から電力へ
5. 大衆消費社会の誕生
メディアの発達/百貨店の登場,私鉄の発展/大衆消費社会の限界
コラム1:植民地開発:台湾の事例
3. 高橋是清によるリフレーション政策
高橋財政/恐慌からの脱却/軍部の台頭と後期高橋財政
4. 産業合理化から統制経済へ
産業合理化論/合理化と清算主義/統制経済
5. ブロック経済下の通商戦略
海外市場開拓と情報戦略/ 1930年代の経済外交/ 1930年代の貿易構造
コラム2:金本位制とは何か
第2章 危機への対応とその挫折
1. 1920年代の日本経済
昭和金融恐慌/ 4大財閥と新興財閥
2. 金解禁と昭和恐慌
金本位制への復帰(金解禁)/昭和恐慌/金再禁止へ
第3章 戦時期の日本経済
1. 大恐慌への各国の対応
ニューディール政策/社会主義計画経済/ファシズム
2. 日中戦争から太平洋戦争期の日本経済
戦時統制経済の開始/第2次世界大戦勃発と統制経済の深化/太平洋戦争の開戦
3. 戦時統制経済の挫折と戦争の帰結
食糧と電力の国家管理/「満州国」での実験/財閥の変容,地主制の弱体化/敗戦
4. 戦時下の国民生活
資源配分の歪みがもたらした生活困窮/物資統制とインフレ/徴兵・動員・銃後
5. 戦後国際秩序の模索と構築
大西洋憲章と大東亜共同宣言/戦後構想の具体化/日本の戦後構想
コラム3:「1940年体制」論
第4章 戦後復興と冷戦体制
1. 被占領下での戦後改革
非軍事化と民主化/財閥解体と独占禁止政策/労働民主化と労働組合/農地改革と地主制の解体
2. 戦後インフレーションと安定化政策
敗戦直後の経済状況/石橋湛山の復興政策/ドッジ・ライン/シャウプ勧告
3. 東西冷戦の開始と朝鮮戦争
朝鮮戦争特需/経済復興の本格化
4. 高度成長への序曲
もはや「戦後」ではない/戦後の新企業ソニーとホンダ
5. 復興期の国民生活
敗戦直後の国民生活/ベビーブームと進学熱
コラム4:石橋湛山の経済政策
第5章 高度経済成長の時代1
1. 経済成長の要因1 供給サイド
生産関数/高かった全要素生産性の寄与度
2. 経済成長の要因2 需要サイド
「三種の神器」/投資が投資を呼ぶ
3. エネルギー革命と世界市場拡大
エネルギー革命/石炭産業の衰退,原子力発電事業の遅れ/自由貿易の拡大,規模の経済の追求
4. 高度成長期の経済政策
国民所得倍増計画/東京オリンピック,「昭和40年不況」
5. 高度成長期における国民生活
消費生活の動向/「一億総中流」
コラム5:「人口ボーナス」の時代
第6章 高度経済成長の時代2
1. 高度経済成長の「負の側面」
過疎・過密問題/公害問題
2. 福祉国家構想
経済成長にかわる目標/社会保障給付の見直し
3. ドル・ショック,第1次石油危機,狂乱物価
ブレトンウッズ体制の終焉/第1次石油危機,狂乱物価
4. 高度成長はなぜ終わったのか
キャッチアップの完了/人口ボーナス時代の終焉/需要サイドの変化/経済成長の条件
5. 高度成長の終焉と消費スタイルの変化
サービス化,余暇時間の拡大/大学の大衆化/女性の社会進出と消費スタイルの多様化・高級化
コラム6:怪獣映画に託された文明批判
第7章 グローバル化の進展と日米経済摩擦
1. 第2次石油危機と産業構造の転換
第2次石油危機/省エネルギー化の進展/加工組立型産業の伸長
2. 財政再建と行財政改革
財政再建に向けて/「一般消費税」導入構想とその挫折/国鉄・電電公社・専売公社の民営化
3. 日米貿易摩擦と先進国による為替協調介入
自動車貿易摩擦/前川レポート,日米構造協議/プラザ合意
4. アジアNIEsの台頭
グローバル化の拡大/「漢江の奇跡」/台湾の戦略的工業化/東南アジアのハブ,香港/リー・クアンユーによる開発独裁,シンガポール
5. 金融自由化の開始と「財テク」ブーム
金融自由化/「財テク」ブーム/アメリカからの金融自由化要求
コラム7:日本株式会社論
第8章 バブルの発生と崩壊
1. バブル経済とは何か
バブルの発生/バブルの歴史/投機的需要
2. 円高の進行と経済政策
バブルをもたらした金融緩和政策/ルーブル合意/バブル景気
3. バブルはなぜ崩壊したのか
遅すぎた再緩和/土地取引の総量規制
4. 消費税導入,「55年体制」の終焉
消費税法成立/「55年体制」の終焉/阪神・淡路大震災
5. ソ連崩壊,ヨーロッパ統合,中国の台頭
東欧民主化革命とソ連崩壊/社会主義市場経済/ヨーロッパ統合への道のり
コラム8:中流幻想を打ち砕いたバブル経済
第9章 不良債権問題と金融危機
1. 不良債権問題と金融システムの動揺
不良債権の拡大/不良債権の処理/住専問題/不良債権処理の遅れはなぜ生じたか
2. 橋本構造改革
中央省庁の再編/地方分権改革/日本版金融ビッグバンと日銀法改正
3. アジア通貨危機
タイバーツの暴落/ IMFの緊急支援,通貨危機の拡大
4. ITバブル,経済再生戦略
ITバブル/経済戦略会議
5. ゼロ金利から量的緩和へ
ITバブルの崩壊/ゼロ金利導入に至る経緯/インフレ・ターゲティングをめぐる議論/ゼロ金利解除/量的緩和へ
コラム9: ITと21世紀の消費社会
第10章「失われた10 年」の諸相
1. 産業構造の変化
デフレ不況期の産業構造/リーディング産業論
2. 金融業界の再編成
メガバンクへの再編過程/異業種からの参入
3. 労働市場の変化
「就職氷河期」「超就職氷河期」/ニート問題/政府の雇用対策,労働基準法等の大改正/労働者派遣事業の規制緩和
4. 地域経済への影響
地域経済格差/地域経済の再生に向けて
5. 「長期停滞」をめぐる論争
「長期停滞」の要因は何か/停滞をめぐる4つの論点
コラム10:デフレと「価格破壊」
第11章 デフレ下での構造改革からアベノミクスまで
1. 小泉構造改革
「失われた10年」の克服/輸出が「実感なき景気回復」を牽引/不良債権問題の抜本的解決/郵政民営化/財政投融資改革/そのほかの構造改革政策/日本企業のコーポレート・ガバナンス改革
2. リーマン・ショックと東日本大震災
サブプライム危機からリーマン・ショックへ/東日本大震災
3. 台頭する中国経済と日本
中国経済の躍進/胡錦濤体制から習近平体制へ
4. アベノミクスの発動
金融政策のレジーム転換
補遺:消費税増税とアベノミクスの中間評価
消費税増税/アベノミクスの中間評価/今後の課題
コラム11:経済格差問題
※以下,版元の紹介ページです。
https://www.gakubunsha.com/book/b377949.html