坂本達哉『ヒューム 希望の懐疑主義:ある社会科学の誕生』慶應義塾大学出版会、2011年10月。
A5判/上製/450頁
初版年月日:2011/10/22
ISBN: 978-4-7664-1879-8
(4-7664-1879-4)
Cコード:C3010
税込価格:3,990円
・目次
序章 ヒューム社会科学の形成と展望
1 ヒューム社会科学の形成
2 ヒューム社会科学の展望
3 いまなぜヒュームか――二元論を超えて
第I部 出発
第1章 ヒュームにおける社会科学の生誕
1 問題の所在――哲学と社会科学
2 理性主義哲学の批判と社会科学の方法
3 社会科学における因果法則と人間の自由
4 法則科学としての「政治学」の可能性
5 社会科学における偶然と必然
6 文明の学としての社会科学
第2章 ヒューム正義論の特質と意義――所有権論と経済論
1 問題の限定
2 人間本性論の展開――個体性と社会性
3 正義と所有権の起源
4 「黙約」とは何か――文明社会と歴史的公共性の発見
5 文明社会と私有財産の正当化――正義論から文明社会へ
第3章 ヒュームの人間労働概念とインダストリ論
1 問題設定
2 『人間本性論』における行為と労働
3 『道徳・政治論集』の労働観――活動としての職業
4 『政治論集』における人間労働分析と文明社会論
5 ヒューム労働観の歴史的文脈
第II部 発展
第4章 スコットランド啓蒙における「学問の国」と「社交の国」
1 スコットランド啓蒙のなかのヒューム
2 「文筆家」への道――近代知識人の誕生
3 文明社会と「中流身分」
4 「学問の国」と「社交の国」の自由貿易
5 「社交の国」の主権者としての女性
6 真の「中流」の学をもとめて
第5章 いわゆる「初期覚え書き」とヒューム経済思想の形成
1 問題の所在と研究史
2 ステュアート説の意義と問題点
3 「一七四〇年代後半説」の提示
4 「覚え書き」草稿の構成と特徴
5 モンテスキュー、ウォレスとヒューム経済思想の誕生
第6章 ヒューム経済思想の歴史的文脈
1 研究史のなかのヒューム経済思想
2 富裕と奢侈
3 貨幣と文明社会
4 経済的自由主義の歴史的文脈
5 貨幣のパラドックス――ヒューム経済思想の到達点
第III部 展望
第7章 共和主義パラダイムにおける古代と近代
1 「自由」の思想としての共和主義
2 古典的共和主義の源像
3 マキアヴェリにおける近代的共和主義の出発
4 ホッブズにおける近代共和主義の継承
5 ロックにおける近代共和主義の発展
6 モンテスキューとルソー
7 ヒュームの古典的共和主義批判
8 ヒュームの理想共和国構想――近代共和主義の確立
9 民主主義の洗練としての共和主義
第8章 一八世紀文明社会と「中流身分」のアンビバレンス
1 ブリテンの啓蒙と文明社会の歴史構造――問題の所在
2 ヒュームにおける「中流身分」
3 「中流身分」の可能性と限界
4 「中流身分」から「中産階級」へ――スミスとジェームズ・ミル
第9章 日本におけるイギリス思想史研究の一特質――いわゆる「市民社会」論の伝統をめぐって
1 社会思想史と政治思想史
2 戦前期の社会思想史学――自由主義・社会民主主義とマルクス主義批判
3 戦中期の社会思想史学――講座派マルクス主義から市民社会論へ
4 「市民社会」論的社会思想史研究の方法的特徴
5 日本の西欧思想史研究におけるヒューム
あとがき
初出一覧
参考文献
人名索引
・版元の紹介ページ
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418798/